女性性と母性の間で揺れる葛藤。
女性の家庭における身の置き所のなさ、社会との繋がりへの渇望、女性として求められることへの欲望、子どもの成長を見持っていたいという母性。
男性は仕事さえきちんとしていて、家庭に十分なお金さえ入れていれば、多少放蕩しても許され、家庭のことを免除されるのに、女性は“完璧”を求められる。
「母」としての役割における完璧さ。社会復帰しても、その完璧さを損なうことが許されないような風潮がこの作品には描かれていてる。
一流企業に勤めるイケメンの夫に尽くす良妻賢母という枠組み。イケメンで高収入の夫をもつ専業主婦は絵に描いたような幸せな家族。けれど彼女は抑圧されているように感じられ、そこから逃げ出したいという願望。塔子のそんな脆さと崩壊を上手く表現できてるように思う。
そんな葛藤の中で鞍田に再会し、彼女の心の隙間にぴったりとはまるわけですが、非常に残念なのは、原作にはあった彼の魅力がない((((;゚Д゚)))
原作だと、かゆいところに手が届く存在というか、惹き付けられる魅力があったのですが、映画だとそれが欠けていて残念。
原作も読んでほしいなー。