ヒムロ

マトリックス レザレクションズのヒムロのレビュー・感想・評価

4.5
トーマス・A・アンダーソンは世界的なゲームクリエイター。
彼が作った3部作からなるゲーム「Matrix」は世界中に影響を与え、ゲームをやらない人ですら名前を知っているほどの名作。
しかしトーマス自身は幻覚に悩まされ、精神を疲弊しカウンセラーの元へ定期的に通院しては青い錠剤を貰う生活をしていた。
しかしオフィスのトイレに彼の作ったMatrixのキャラ、モーフィアスが現れ自体は一変する。
Matrixはゲームではなかったのか、ネオが平和をもたらしたはずではなかったのか、自分は救世主として死んだのではなかったのか。

マトリックスシリーズの正統続編であり、実にレボリューションズから約18年ぶりの続編というだけあって、どういうストーリーになるのかと思いきやいきなり度肝を抜かれた。
Matrixはトーマスの作ったゲームで〜というセルフパロディ的な設定はそもそも仮想空間の話なのであまりにもピッタリすぎる。
仮想現実の中で生活していながら作っている架空のゲームが実際の過去の体験だなんて混乱して当然。

懐かしのキャラたちも一部キャストは変わっているが出てくる。
特にスミスとの関係は胸熱。
共にマトリックスの異分子(バグ)でありながら敵同士だった二人は前作ラストで融合。
そして今作での関係性には是非注目してもらいたい。
死んだはずが再びマトリックスに縛られるスミスは一体どういう心境なのか。
そしてもう一つ、18年の時を経て超絶イケオジになったロン毛のヒゲキアヌがカンフーアクションしまくる所だけでも見る価値がある。
よくぞサングラスなしでのアクションに切り替えてくれた、名采配だ。

昨今の大作映画としてポリコレ盛り盛りって感じなのは確かにそうなんだろうが、そもそもトリニティがバシバシ敵倒しまくったり、キーメイカーとか預言者とか元より性別も人種も広い映画だったので全然気にならなかった。
というかそもそも製作者であるウォシャウスキー兄弟が性転換で今やウォシャウスキー姉妹(本作はリリーは不参加)になっているのだからこれほど適任者はいない。
ラストに関しても爽快かつ、3部作と差をつけるとすればコレだという正解中の正解を叩き出している。
AIや機械に関する設定が20年前なのに先進的と言われるが、この辺の先進的な部分にも注目してもらいたい。

本作はあくまで両親の死の悲しさを紛らわすために作った作品らしく、続編の予定はないそうだが、前作までに負けない面白さがあったので次作も何かの折に期待したい。


事前にマトリックスをレボリューションズだけでも予習しておくのがいいと思うが、黒猫がマトリックス世界が変化した瞬間の象徴であるということだけは必ず頭に入れておくと良い。
ヒムロ

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