Ark

地獄の黙示録 ファイナル・カットのArkのレビュー・感想・評価

3.6
2023-7
1960年代末、アメリカ陸軍のウィラード大尉は、上層部からある任務を受ける。それは、軍を離れ勝手をやっているカーツ大佐を暗殺する任務だった。ウィラードは部下4人と共にヌン川を遡りカーツの居所を目指す。


79年の作品なのに、ファイナル・カット版だからか画質が超いい!
しかし、なげぇ。3時間見続けられないから、1時間ずつ切って3回に分けて観た。監督が同じだからやっぱりゴッド・ファーザーと同じ雰囲気。

テンポが遅く、哲学的なセリフや難しいセリフが多く、全体を通してかなり静か。ウィラードが寡黙で全然喋らない代わりに、ナレーターとして色々喋る。

1つ1つのシーンが長すぎて、だらーーっとした印象で締まりがない。
牛の屠殺とカーツ殺害のシーン、突然のバイオレンス描写にレフン監督を思い出した。

この映画の登場人物たちの行動に脈略がなく、頭を使ってない行動ばかり。ボートの怪しげな一般人をぶっ殺して子犬だけ連れてったり、矢を撃ってくる現地人にマシンガンを撃ったりなどなど。それらの理にかなっていない行動をする部下たちをまともに制御できる者が誰もいない。
筋書きと言えば“カーツ暗殺の命を受け、任務にあたる”のはず。しかし最終的には“特に理由はないけど滅多切りにして殺す”っていう、散々色んなことを語ってた割にはよく分からないエンドになってる。

終盤で突然、カーツの島の人達が何かの儀式を始めて、生きてる牛をナタみたいな物で切り裂き始めたから超動揺した。あまりにもショッキングすぎて、頭に焼き付いて離れない。見ていて牛が可哀想すぎるしグロすぎる。
ちなみにあれは本物の牛を屠殺するシーンらしい。コッポラ監督の妻が、ロケ地近くに住む山岳民族の儀式を撮った映像を映画に取り入れたため、当初は予定になかったシーン。

ファイナル・カット版ではカットされてるが、特別完全版ではカーツの王国の空爆炎上シーンで締めくくられるそう。本作のようにウィラードがボートで静かに去っていくシーンで締めるより絶対にオチのついたエンドだったと思うんだけど、何故かカットされてる。

マーティン・シーンが撮影中に心臓発作を起こしたり、撮影現場に酒とドラッグが蔓延してたり、資金繰りもかなり厳しく半分は監督の自腹だったり、それはそれは大変だったそうな。
本作は監督がその場で脚本を書き換えたりして、行き当たりばったりで撮影したからオチも決まっておらず、マーロン・ブランドも監督の言うことを聞かず、自然災害などの影響で撮影が押し……などの多くの災難に悩まされながら完成させたらしい。最後まで監督は結末をどうつければいいかわからず、終盤ではカーツに意味深な詩や哲学っぽいことを語らせることで時間稼ぎ。カーツが常に暗がりにいるのも、マーロン・ブランドの役に反して太り過ぎた体型を誤魔化すため。それならこのとっ散らかり具合もわかるし、これはこれでアリだなと思える(笑)

ルーカス大佐という役名でハリソン・フォードが端役で出演してると知って見直してみたら確かにいた!(笑)若すぎて気付かなかった。

冒頭のウィラードが部屋で暴れ回るシーンは、マーティンが「カメラを回しっぱなしにしてくれ」と言ってアドリブでやったらしい。鏡を割って大量出血のところも本当の血なのかな?そしたら“ジャンゴ〜……”のディカプリオみたいだね!
また、先述したマーティンの健康上の問題により、回復までの3~6週間は弟ジョー・エステベスが代役を務めた。主演不在のままロングショットなどの撮れるシーンを撮影。撮影終了後に追加で撮りたいナレーションがあったがマーティンが多忙で時間が取れないため、ジョーが代役を務めたらしい。しかしクレジットに名前はない。

音声解説で観たり、「ハート・オブ・ダークネス」を観れば正確な情報を色々知れるかも?
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