劇場2021-27 渋谷HT
舞台が下北沢と聞いたら観に行かなくてはと思い立ち鑑賞。小田急線地下化工事最中に撮影されたとのこと。隣町に住んでいたので懐かしい光景が沢山あり、そこだけでまず満足。
今泉力哉監督の作品は『あの頃。』くらいしか拝見したことがない。この両作だけで見ると若者のわちゃわちゃしたところを描くことにかけては、隙もなく精緻に計算された筆致で素晴らしいものを産出される方だということがわかる。
本作は前段の運びが緩く、自分にとっては少々きつかったが、中盤の青とイハの長尺会話シーンからラストへ向かってのたたみかける展開は心地良く、包み込まれるように没入できた。
下北沢という街で繰り広げられる様々なシーンが、絶妙なバランスで街の上に乗っているかの様というのがよくわかった。
元々小径や坂道、階段も多い街だ。そこに時折出てくる古着屋のカップル客が街の高低差と同一平面性を表しているのか、絶妙なタイミングで出てくるところはイイ。
下北沢映画祭出展のために作られた作品との事。
あの街への愛、消え行くあの街の様子を残そうともした本作は、いつかまた観てみたいと思うものでした。
成田凌の「えっ?」と「えっ、、、」の違いがわかる芝居も凄みがあった。