あ

境界線のあのレビュー・感想・評価

境界線(1966年製作の映画)
3.8
レジスタンス映画ではあるけれども、主人公がそもそもレジスタンスに乗り気でなかったり、フランス人ではあるけれどもドイツ側の通訳のおじさんがいたり、厭戦気分の若いナチス兵がいたりと、決して一枚岩ではない人間模様が面白かったです。

ドゴール率いるレジスタンスはフランスのために戦った訳ですが、そもそもその事実は今のアメリカでいうMAGA的に神格化されていた側面もあり、それを思想的に相反するヌーヴェルバーグの作家でありながら、父親が元レジスタンスであり、レジスタンスのありのままの姿を知るシャブロルが撮ったということで、5月革命前夜の保守的な雰囲気の中で、本作は第二次世界大戦下におけるフランスの実態を繊細に伝えた、稀有で含蓄のある作品なんだと講義を聴いてより深く思わされました。

ただ一方で、特にトラックでミシェルを逃すシーンなんかは、どのトラックにミシェルが乗っていて、どのトラックに放火したのか分かりにくく、ミシェルが焼き殺されたように見えたりして、少々ガチャガチャしていた感もありました。レジスタンス映画としては、「アルジェの戦い」(フランスが抵抗される側ですが...)とかの方が、圧倒的に緊迫感があって面白いように思います。
あ