Travis Scottは僕がラップの中でも特に好きなアーティストだ。特に彼の声質と楽曲のテンポ感や空気感は、ヒップホップをあまり知らない僕でもすぐに好きになれるようなキャッチーさと、独自の世界観を持っている。
彼ほど富も名声も有り余るほど手に入れた人間はそうそういないだろうに、それでも彼は未だにトップを目指しつづけている。過去の素晴らしい栄光にすがる事なく、常に前だけを見てより最高な音楽とライブを作り上げる彼の姿勢があるからこそ、彼を心の底から愛してやまない人が世界中にいるのだろう。このドキュメンタリーで、楽曲制作風景や、ライブの打ち合わせを見ていて、そう感じた。
圧倒的な支持を集めるミュージシャンは皆、絶大な期待と非情なメディアの圧力の両方を背負っている。トラヴィスもその一人。彼を病的なまでに愛してやまないファン達に、勝るほどのエネルギーとカリスマ性を、いかなる状況でも与え続けているのは、彼が現代を代表するスターである証拠だと思う。彼の今後がますます楽しみになった映画だった。
