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熊川哲也 Kバレエ カンパニー 「くるみ割り人形」 in Cinemaのaynのレビュー・感想・評価

4.9
CS放送で視聴

最高
今まで観たくるみの中で1番好きかもしれない。

クララ≠マリーの独特な解釈、
ドロッセルマイヤーの立ち位置が面白い。
独自解釈に合わせてなのか、
使わない曲もあるし、ここでその曲を使うのか!という意外性もあった。

2021年度の同カンパニーの公演と比べると、違う年だからか同じ流れながらも所々演出が違っているのもまた面白い。
古典であり、毎年恒例の作品だからこそなのか毎度少しずつ変わってるのかも?

・印象的だった、2021年との違い

1幕1場の人形劇シーン。
人形役はお三方ともスクールの生徒さん。
人形マリー姫がねずみvs王子に積極的に加わる/加わらない。ずっと笑顔/そうじゃない。1体ずつ抱えられる/箱に詰められて捌けていく。
そして2021年の方がより幼い生徒さんに見えた気がする。

最後、クララを眠らせてベッドにプレゼントを置いて行くシーン。
ドロッセルマイヤーは後ろへ少しずつ消えて行くのが本公演バージョン
今年は、軽やかにマントを翻して去って行く。(どちらも杉野さんドロッセルマイヤー)

なんと言っても中村祥子さんのオーラ!
貫禄のあるマリー姫。いやいっそ女王様。
ペアによってはお互い見つめ合って終始笑顔なのに対し、王子も見るけど何より客席。360度美しい。
そんなマリー女王をそっと支える優しそうな遅沢さん王子。

クララは夢見る少女らしさ全開、天真爛漫でくるくる変わる表情が愛らしい。
雪の国直前の王子とドロッセルマイヤーとのパドトロワ、さり気なくアクロバティック過ぎる。巻き戻して確認した。

ドロッセルマイヤーが今までのイメージではもっと不気味なキャラクターだったが
Kバレエ版はなんだか父性がある。
クララに対して夢への案内人かつ保護者な立ち位置。
花のワルツに参加した後の2人の会話のお芝居が微笑ましい。

小林美奈さんの雪の女王はクールで優雅で美しい。
クールな表情を変えないキャラクターでありながら、冷たい印象はない。御御足が綺麗。女王だけポンポン付きの衣装なのが意外で可愛らしい。
クララを見送る時の柔らかな表情が素敵。
コールドの一矢乱れぬ美しさと、容赦ない大雪!(笑)
そんな雪ん子たちは雪の両陛下とは違って、意外と満面の笑みだったり。
幕間、声をかけ合いながら掃除機で吸っている様子が聞こえてきて面白かった。

くるみが割れる時の火花、この年はなかったんだ…
などと違いを面白がり始めるといよいよ、
来年も行きたくなってしまっているただのファンである。
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