おかだ

都会のトム&ソーヤのおかだのレビュー・感想・評価

都会のトム&ソーヤ(2020年製作の映画)
1.5
ロケ地が黄金町でうれしかった


「都会のトム&ソーヤ」通称マチトム。
成人男性で公開中にこの映画観に行くのは日本広しといえど私ぐらいではなかろうか。

講談社のヤングアダルト向け書籍レーベルである『YA!entertainment』。
そのエースがはやみねかおる氏による同シリーズである。

位置付けとしては小学生向けレーベルの『青い鳥文庫』の少し上、中学生向けぐらいかな。
小、中学生当時に夢中で同シリーズを愛読しておりました、現在27歳でございます。

懐かしいなあ。読んでた同世代の人いてますかね。

そんなこんなで、まさかこの歳で映画化に立ち会うとは思わず、さすがに放っておけず鑑賞してまいりました。


まず映画の出来はここ最近でも少なくとも映画館では観たことがないぐらい、死ぬほど不出来だったので、もう映画に関する批評はやめて原作からの脚色部分やその他感想をつらつらと書いていきたいと思います。

原作との相違という点では、主にキャラクターに関してだな。
ちなみにこれも、役者がハマっていたかどうかとかそんな次元に達していないので、キャラ概要だけ見ながら話していきます。

まず主演2人に関して、創也がやや感情豊かになっていたな。
持ち味の冷静さに欠ける部分があり、ナゾトキの質も幼稚園児向けレベルだったので(かと思えばフィボナッチ数列は挿しこんでくるのね)キャラクターとしての魅力に著しく欠ける印象。
まあとはいえ、肝心なところで見せる少年ぽい熱さと、ダージリンを嗜む御曹司モードとのギャップが少しだけ見せられており、辛うじて主役っぽい扱いではあった。

しかしもう内人に至っては、得意のサバイバル術もほぼ披露させてもらえない挙句、ゲームに感情移入し過ぎてまともにプレイも出来ず、創也のバディという役割をまるで果たせずとてもかわいそうな扱い。

それから、栗井栄太の正体って結構少年向けミステリーとして面白い要素だったのに最初から明かしちゃってんのね。
そして彼らだけ異様にキャストが豪華。

市原隼人、最近見ないと思ってたらこんなことやらされていたのか。

あと大きな相違点というところでは、肝心のゲームの内容か。
原作での『ルージュレーブ』探しは確か洋館が舞台のミステリー小説風な雰囲気が楽しかった気がするが、映画だからといって安易にゾンビものに変更してしまってつまらない。
a girlのダジャレとか好きやってんけどな。

と、思いつつも確かにそうか、これだけリアル脱出ゲームとかVRが発達したこの時代に、限定的空間におけるRRPGの作り込みで栗井栄太の凄さを伝えるのは確かにしんどいわな。
しかしなればこそ、カメラの優位性でその障壁を乗り越えることが映画化の意義だと思うんだけれど。


とまぁ、そんなこんなで、脚色演出すべてが幼稚園向けの今作。
さすがに児童向けの夏休み映画に口を挟むのは野暮と思いつつも、YA!entertainmentってもう少し年齢層上じゃないのか。子どもを舐めすぎている。

どの層にも全くおすすめはしませんが、かつての愛読者としてはなんだかんだ懐かしい気分に浸れて楽しかったです。


あ、あとちなみにロケ地が思いっきり京急線沿いの黄金町付近だったのでちょっと嬉しかったです。
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