Palak

ブラック・クリスマスのPalakのレビュー・感想・評価

ブラック・クリスマス(2019年製作の映画)
1.5
うーん、難しい時代になってしまったな、という印象。ダイバーシティ、イコーリティの時代において、アメリカのエンタメが過剰なまでのポリコレを取り入れていった先に生まれた、ホラーを依り代にした女性賛美、いや男性痛罵の映画。

男性の自分が言うのはすごく怖いけど、個人的にこの映画はかなり嫌いだった。まず映画として未熟というか、あまりに言いたいことをそのまま言う、見せたいものをそのまま見せるような作りで、女性賛美をテーマにしたのは分かるけど表現の作品としてどうなのという感じがしてしまった。

そして男性の描き方がとても乱暴で、ステレオタイプな悪い男性像に対して女性が攻撃し続けていて、ちょっと表面的過ぎるんじゃないかと感じた。「男がみんなレイプ魔な訳じゃない」と唯一まともなことを言ってた男はああいう扱いだし。
女性の権利や男女平等を主張するということと、単純に男性を攻撃することは違うと個人的には思う。

そういった主義主張のひっかかりは抜きにしても、単純に映画として辻褄が合わないところも多いし、キャラも弱く、展開や世界観も浅くてなかなか入り込めない。
それに対してひたすらに男性の酷さ、女性の惨めさとそれに対する反抗を言葉と行動で休みなく説明していくものだから、途中で「あぁ、この監督はホラーとか映画としての完成度とか別にどうでもいいんだな」と思ってしまい、気持ちが遠ざかってしまった。

しかし難しいところは、たとえこういう映画として微妙な作品でも、今この時代にこういった重要でセンシティブなテーマを扱うこと、オールドファッションな女性像との決別をメジャーな映画で描くこと、女性を主要キャスト、スタッフに起用することの重要性は評価するべきことであるというところ。作品自体の良し悪しを越えたところに評価のポイントが生まれてしまい、映画を映画自体で評価できなくなってしまうというパラドックスに陥ってしまっている。

本当に難しいところだけど、ただのアマチュア映画ファンの単なる個人的な好みに基づいた評価として、好きな映画ではなかったと言っておきたい。
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