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WAVES/ウェイブスのりのレビュー・感想・評価

WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)
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NINファン・洋楽ファンの身としては昨年から公開を心待ちにしていた本作。だからこそストーリーが負けてしまわないかという不安もあった。

結論、間違いなく傑作である。
俳優陣の繊細な演技・印象的な色彩の映像と選曲が非常にマッチしており、監督のセンス大勝利としか言いようがない。アスペクト比の使い分けも斬新。

登場人物は誰もが不器用で、お互いすれ違い、傷ついてゆく。胸が苦しくなる展開が続くが、ラストは再生と希望を感じさせるものであった。
兄パートがひたすら辛い分、妹パートのロマンチックなデートシーンが印象的。

音楽面に言及すると、名曲の数々を支えるトレント・レズナーとアッティカス・ロスのオリジナルスコアは近年公開されている映画作品群の中でもトップレベル。NINの楽曲でもみられる儚げなピアノと不穏な重低音・ノイズの対比は、登場人物の揺れ動く心理を見事に表現している。
エンドロールであの台詞をサンプリングするとは…参りました。
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