みらい

Our Friend/アワー・フレンドのみらいのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

オンライン試写会にて。

とても良かったです。
結末は分かっているし、その過程に大きな意外性があるわけではないのですが、ケイシー・アフレックとジェイソン・シーゲルの安定感のある演技で魅せてくれます。
そして、ただの綺麗事だけじゃない、嫌な感情とか過去の過ちもきちんと描いてくれて、信用できるなぁと思いました。

周囲の人間から見たらデインはただの居候に見えるかもしれない。家賃ももらわずに、親友といっても他人を長期間家に置いておく理由が分からないから。
また、デインが友人のためにそこまでできる理由も理解できないから。
その理由はほんの些細なことに見えましたが、ちょっとしたことで人を傷つけることがあるように、またちょっとしたことで人を救えることもあるということです。
それが分かるまでは、主人公夫婦がデインの献身を消費しているように見えましたが、そうじゃなかったと分かって気持ち良く映画を観られました。

余命わずかな母親が出てくる映画は『秘密への招待状』『ブラックバード』に続いて今年3本目ですが、この2本と違う点は残される人たちに軸があることだと思います。
題名も“Our Friend”だし。
デインと再会してから、マットとニコールを繋ぐのに彼が大きな役割を果たしていたし、マットとデインを繋いでいたのはニコールの存在だと思っていたので、ニコール亡き後燃え尽きた2人はもう疎遠になってしまうんじゃないかと思いましたが、そうでないようで良かったです。
デインがニューオーリンズに帰る前、マットが「ありがとうじゃ足りない」と言っていたけど、“The Friend”と題したエッセイがデインへの最大の感謝の形であり、それをデインが読んで、マットとデインがニコールを介さずに繋がれたのだと思います。

◯ケイシー・アフレック、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のイメージもあり、こういう俯き気味、憔悴気味の役が似合うなーと思います。デインとお別れをした直後に仕事相手に電話をして、つい言葉が詰まってしまうラストシーンがまた良かった。

◯ダコタ・ジョンソンは『フィフティ・シェイズ〜』『サスペリア』しか観たことがなく、普通の(笑)作品は初めてみました。やっぱり、若すぎるなーという印象は拭えませんでしたが、30代になり役柄の幅を広げている感じはします。

◯ジェイソン・シーゲルの出演作品は初めてかも。「こんな人がいてくれたら...」を体現してくれました。

◯幼い娘2人。お姉ちゃんのモリーは、全てを話すにはまだ幼いし、隠し通すには大人すぎる。告知から数年経つ間に彼女も成長して思春期を迎えるわけで、お父さんも大変だと分かっていても「それなら仕方ないよね」とはならなくて、辛いでしょうね。

◯“Call me.”に救われる映画。
みらい

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