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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONEのRのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

※全編ネタバレしてます。

映画館で。

2023年のアメリカの作品。

監督は「アウトロー」のクリストファー・マッカリー。

あらすじ

今回、IMFエージェント、イーサン・ハント(トム・クルーズ「トップガン マーヴェリック」)に課せられたのは全人類を脅かす新兵器が悪の手に渡る前に見つけ出すこと、しかしIMF所属前の「逃れられない過去」を知る「ある男」の登場により、世界各地でイーサンたちは命を懸けた攻防を繰り広げる!!

遂に全世界待望のトム・クルーズ主演「ミッション:インポッシブル」シリーズの最新作が昨日公開!!ということで、2週前くらいから過去作を再履修してきて、復習もバッチリ!!気合十分ということで早速行ってきました!!

結論から言えば…いやぁ、待っていた甲斐がありましたよ!!めちゃくちゃ血湧き肉躍るアクションてんこ盛りで、すこし泣きました!!そんくらい面白かったです✨

お話はあらすじの通り、今までは核ミサイルとかプルトニウム爆弾とか世界大戦が勃発しそうなきな臭いミッションが多かったわけだが、今作で描かれるのは、まさに今の時代、そしてこれからの時代、更に増えそうな映画作品の要素として増えそうな「AIの暴走」。

要は今作では「エンティティ(それ)」と呼ばれる、どんな機密情報にもアクセスできてしまうAIが最大の敵であり、後述するガブリエル(イーサイ・モラレス「マッド・ウォーリアーズ 頂上決戦」)やその手下のパリス(ポム・クレメンティーフ「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLOME3」)はいわば、そのAIの尖兵的な存在という、今までは国際的犯罪者だったり、イーサンと同じエージェントだったりしたこれまでとは明らかに異なる「近未来的」要素を入れ込むという攻め様。

邦画の「AI崩壊」をはじめ意志を持ったAIなど他の作品にも近年チラホラと出てはきているが、今作はいわばその最新版。冒頭からロシアの潜水艦「セヴァストポリ」のレーダーを誤操作?させて、潜水艦を沈没させちゃうし(その時の船員の死体が次々に浮上し、氷面にぶつかる絵面のショッキングなこと)、なんとイーサンの仲間のベンジー(サイモン・ペッグ「ラック 幸運をさがす旅」)の偽音声を駆使してイーサンを間違ったルートに導こうとする。それまでの戦いでもイーサンたちIMFが四面楚歌になることは多かったけど、今作では、いつ、どこで「それ」が見ているかわからない油断ならない状況下が続くというだけでその恐ろしさは計り知れない。

で、どうやら「それ」を操るための「2つの鍵」をイーサンたちや各国が奪い合う…というのが本作の大まかな軸というわけ。

で、今作最大の敵は「それ」なわけなんだけど、その庇護を受けた悪役であり、イーサンがIMFに加入するきっかけと「逃れられない過去」を作った因縁の相手、ガブリエルを演じたのがイーサイ・モラレス。

見た目はジョージ・クルーニーみたいな、銀髪のちょいワルイケオジという感じなんだけど、「それ」の庇護により、監視カメラやイーサンのスパイ道具でも認識されない、言わば「幽霊」のような不気味な存在として立ちはだかる。また仲間や協力関係である相手に対しても躊躇うことなく瞬時に手にかける冷酷無比な性格でもあり、何をするかわからないところは4や5のソロモン・レーンとはまた異なる強敵感が半端ない。それでいて、因縁の相手イーサンに最後に出し抜かれた時の「イィィサァーーーーン!!」と激昂するシーンは特に印象的だった笑。

また、そんなガブリエルの手下というか右腕的存在パリスを演じるのは「ガーディアンズ」のマンティス役でお馴染みのポム・クレメンティーフ。また、彼女がすごく良くて、やっぱマンティスのイメージで天然のポワポワ娘な印象が強かったんだけど、今作ではマンティス独特の黒目のみの小動物じみた特殊メイクはもちろんないので、素の意外に目つきの悪い顔相と金髪という柄の悪さ、カーチェイスシーンではゴツいジープを駆使して邪魔なものはところ構わず薙ぎ倒していく粗暴さとその様をまるで嬉々として楽しんでいるかの様なクレージーな性格を持ったケレン味のあるヴィランを演じていて新感覚。また何故か白塗りで目元にまるでピエロのようなメイクをしていたり、ファッションがUKパンクとマーチングバンドを彷彿とさせる独特な衣装に身を包みながら、長物の剣や棒状の武器を持って戦う武闘派な面も見られ、なんつーか漫画的要素全部盛りなインパクト大のキャラクターだった。

また、イーサンと行動を共にし、ヒロイン的ポジに躍り出てくるグレースを演じるのが、こちらもクレメンティーフと同じMCUの「キャプテン・アメリカ」シリーズのペギーでお馴染みヘイリー・アトウェル(「カセットテープ・ダイアリーズ」)!!ペギーと同じく、極めて意志の強そうな顔立ちはそのままにそれまでのヒロイン兼イーサンの頼れる仲間だったイルサ(レベッカ・ファーガソン「レミニセンス」)が「峰不二子」ならば今作で彼女が演じるグレースはいわば「ONE PIECE初期の頃のナミ」的な、泥棒猫的な「スリ技術」を駆使して立ち回っていくキャラクターだったのが新鮮。ただ、格下的に甘く観ているとイーサンも結構その技に引っかかって出し抜かれてるし、場面によっては手品的な出しては消す小技を使って敵を翻弄していく、上手い塩梅でバランスを保っているのが見事。

また、彼女自体はエージェントでも戦闘技術を持った元兵士とかじゃ全然ないので、そこまで強くないのとイーサンと共に行動することでアクションに不慣れですごく戸惑いつつ、仕方なく同行している感じがそれまで「強い女キャラクター」が多かったこのシリーズにおいては今までにいない新鮮な女性キャラクターでもあった。

で、ほぼ全編に渡って描かれるキモのアクションに関してはなんか毎回書いている気がするがシリーズ一すごいし、ヤバい!!そして、多い!!

序盤のアラビア砂漠での砂嵐巻き起こる中での簡素な建物内での非常に「コール・オブ・デューティみ」を感じさせる銃撃戦から始まり(そこでのイルサのスナイパーライフルで狙いを定めるための眼帯姿がまためちゃくちゃ似合っててクール!!)、アブダビでの空港内追いかけっこのスリリングさ、前作でも出てきた裏社会のドン、ホワイト・ウィドウ(「The Son/息子」)と再度対峙するクラブ内でのアクションなどなど、ほぼほぼずっと戦ってるか、逃げてるような忙しないアクションの目白押しなんだけど、前半の白眉はなんと言ってもイタリア、ローマのカーチェイスシーン!!

鍵を盗んだグレースを追って、バイクにまたがるイーサンから始まって、なんとか捕らえたと思ったら、追ってきたパリスやコミュニティのブリッグス(シェー・ウィガム「ヴァンパイアVSザ・ブロンクス」)に囲まれて、さぁ大変!!グレースを逃さない様に咄嗟に手錠をかけて一緒に車で逃げ出すんだけど、察知されない様に乗り換えた車はなんと真っ黄色なフィアット500!!そっからお互い手錠をくくりつけたまま、即席の運転教習所的なコメディノリも加えつつ、市街地を駆け巡り、追ってきたパリスを撒くために「ワイスピ」もびっくりの階段から大ジャンプ!!それでも追ってきたパリスの車を撒こうと大ドリフトで困惑させつつ、前には警察、後ろからはパリスやブリッグスたちが迫る中、テーマソングと共に大胆すぎるバック走行からの意表をつく地下鉄トンネルへのゲッタウェイ!!まさにカーチェイスアクションのつるべうちという感じのてんこ盛り状態で楽しすぎて、ちょっと泣いた!!最近「ワイスピ」シリーズからはとんと距離が離れてしまったけど、このシーン観てカーチェイスの面白さに目覚めてしまったかも…そんくらいめちゃくちゃ熱いし、楽しかったなぁー!!

ただ、その後ベンジーやルーサー(ヴィング・レイムス「ウェンデルとワイルド」)、そしてイルサ(今回もブラントは出ない😭)も集結し、役者は揃った!って感じで嬉しくなるんだけど、作戦会議の後、え?こんなに親密だったっけ?って身を寄せ合うイーサンとイルサのロマンチックなシーンから嫌な予感がビンビン…。

所謂「死亡フラグ」。

そこからホワイト・ウィドウとの会合のシーンにガブリエルも登場し、「それ」の予言としてイルサかグレースのどちらかが死ぬと言われてしまって、どうかどうか死なないで…と思っているのも虚しく、必死に食い止めようと夜道を駆け回るイーサンのすんでのところでガブリエルの手によってイルサは殺されてしまう。

イルサの死を目の前にイーサンの悲痛な顔、見てらんねぇよ…どんだけ大切な人との別れを経験しないといけないんだ、この人は。

でも、だからこそ、その後グレースも加わっての新たな作戦会議の場でグレースに向かって「自分の命よりも大切に君を守る」と「覚悟」を持って言い放つイーサンの漢っぷりがカッコいいー!!

そして、舞台は最終決戦のステージ「オリエント急行」。名探偵ポアロの世界観そのままにゴージャスな列車でガブリエル、ホワイト・ウィドウ、ブリッグスたちが一同に集うんだけど、そこでイーサンがかますのが予告でもあった、「あのシーン」!!

予告だとめちゃくちゃ高度な山脈の崖から自殺しようとする人ですら躊躇する様な一世一代のバイクジャンプをするインパクトがまずあったんだけど、そこに至るまでに、このシリーズ独特の「そうならざるを得ず仕方なく」の状況の作り方も上手いし、そこからのかつての仲間、そしてイルサの死を通して、今度こそ「守り通す」という覚悟を持ってダイブする心情も丁寧に描いており、めちゃくちゃ熱い!!それでいて、ダイブするその瞬間は無音、だからこそ伝わるリアリティ!!

パンフによると計15か月に及ぶ準備期間とトム自身536回のジャンプ練習を行い、スカイダイビングのトレーニングやパラシュート技術、万が一スタントに失敗した場合の空中姿勢の修正方法まで学び、挑んだシーンは、どっかのサイトによるとそれを映画撮影だと知らずに偶然見た人が「本当に人が飛び降りてるのかと思った」とショックを受けたというのがうなづけるくらい、ほとんど飛び降り自殺そのまんまな「ヤバさ」。

シーンとしては一瞬だけど、間違いなくアクション映画シーンに深く刻み込まれる超絶アクションシーンとなっていた。

また、それ以降も列車上でのガブリエルとのタイマンバトル(トンネル内のこちらにまで閉塞感が伝わってくる様なギリギリな閉所バトルの新鮮味)や王道の冒険活劇的な組手のかっこよさ!)や痛み分けで決着がついた後の「ダメ押し」の落下する列車から列車へグレースと共に何度も飛び移るスリリング溢れるスペクタクルシーンなど最後までアクションという名のあんこたっぷりでお腹いっぱいで大満足!!

お話的にも、特に4あたりから様々な組織が入り乱れて込み入った話になってくる分、わかりづらい部分があったのが本作に関しては道筋がわかりやすくお話としても入っていきやすかったので、ストーリーラインは大まか理解しながらアクションに注視して観ることができたのも個人的に良かった。

と言っても、まだお話としては「前半戦」。来年に公開予定の「PART TWO」では「それ」自体の侵攻も苛烈化していくだろうし、ガブリエルとの決着もついていないし、グレースとの再会も待ち望まれる。

ラストで氷海深くの「セヴァストポリ」のショットもあるし、次は氷海アクションで攻めてくるのか?それとも??

現在御年61歳のトム、次作で「最終作」と噂されているけど、インディ最新作のハリソン・フォードに感銘を受け「80までやったる!」とか言い出したし、一ファンとしてはやっぱいつまでも頑張って、また新たなアクションの地平を我々に見せてほしい!!
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