よこた

IDOL-あゝ無情-のよこたのレビュー・感想・評価

IDOL-あゝ無情-(2019年製作の映画)
4.5
何度目かもう数えていませんが再鑑賞。
個々人のキャラクターの立ち方やポテンシャルを考えればWACK史上随一だった2期BiSがこんな風にポシャってしまったという事実の大きさを考えると、その最期を痛々しいほど隅の隅まで記録したこのドキュメンタリーにはとてつもない価値がある。
プロになりきれなかった女の子たち、プロにさせてあげられなかった大人たちの間に広がる溝は恐ろしいほど大きい。「ひとつになる」「まとまる」という口で言うには簡単すぎる言葉があまりに空虚に響き続ける劇中。下された結果を受け入れられないメンバー、受け入れてどう落としに行くか考え始めるメンバー。そこに至るまでずっとひとつになれなかったよね。
「マネージャーだった時のくせで未だにこれやっちゃうんだよ。」解散ライブでペットボトルの封をひとつひとつ切る社長。シーンが変わってそれをなんの疑いもなくひとつとって飲み、その場に置いてステージに向かうメンバー。この一連のやり取りに2期BiSというグループがなぜ終わらなきゃいけなかったのかが詰まっている気がした。
2期BiS解散から4年と言う年月が経過し、2期BiSの面々は全員WACKを去った。未だアイドルを続けるメンバーも多い中、ひとりとして突き抜けた活躍ができていない現状。
あのオーディションの最終日、脱落が決定した後「大丈夫。次また頑張ろうよ。」とムロに励まされていた女の子は、後にトギーになり、2023年現在3期BiS唯一のオリジナルメンバーとしてステージに立っている。
『大人は全然信じたくはないよ。今の私も嫌い。でも信じようかな。』このパンチラインを全身で叫んでいたあの時のムロパナコというアイドルを私は未だに愛しているし、ボロボロになって何もかもがわからなくなってもあの合宿を駆け抜けたあの儚さはずっと私の記憶に残り続けるのだと思う。
よこた

よこた