空飛ぶ海豚

アルベール・カミュの空飛ぶ海豚のレビュー・感想・評価

アルベール・カミュ(2010年製作の映画)
3.7
私は誰よりも忠実に生きている。

自分に素直なことが調和を生むことに繋がることは殆どない。

個人の問題と社会の問題を切り離しているから、アルジェリアの内戦に対しての態度は、個に忠実じゃない態度を示すことが出来たのか?

カミュ自身が矛盾を抱える。個人の問題も小さな社会を生む訳で、その社会でも個に忠実であることで分断を生む。

では、どこで人は自分に忠実でいることが出来るのだろうか。

愛人達との逢瀬だけが、裸の時間だったのか。いや、それも分断小社会からの逃避なだけにも感じる。

ハッキリと左翼であると言いながら、ブルジョワジーと思われる様はリアル。往々にあることだと思ったが、カミュも悩みながらもノーベル賞を貰ったことが現れのようにも思う。

単純な見方だと、言ってる事とやってる事が違う。時代が変わっても、紋切り型で切り取られるのは変わらない。

丁寧に言葉を大事にするしかない。
空飛ぶ海豚

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