Tsu白ma

失くした体のTsu白maのレビュー・感想・評価

失くした体(2019年製作の映画)
4.5
良かったけど、オチ、もう少し主人公を立たせて欲しかったという気持ちになったが、音楽も映像も見せ方もシナリオもよかった。めちゃくちゃにバンド・デシネなアニメーション映画。

なんにもならない、どうしようもない主人公。自分が変わることしかどうにもならないというところまで行ってほしかった。(友達になれないタイプだなー、たぶん好きにはなれない。)
だけど、ラストを考えると、本作のように思いもよらないところでいい風に作用することも稀にある。だがそれもまたハエの時のように自分を見失わないようにする必要がある。大切にする必要がある。
運が向いたとしても自分次第だ。
それに気付いた時は愛があるその瞬間なのかもしれない。その腕も全て受け入れてくれる人に出会った時。

何故手が視点を持つことができるのかそこに違和感を感じたものの、居場所が出来つつあった矢先に大切な手を失くし、自分を追いかけ、出会うまで彷徨うという発想は面白いと思う。

世界や自分に対して希薄な印象を受ける主人公もやっぱり自分に対して執着をしているんだということがわかる。失くした手が自分のところに戻ってきて欲しいという意味でもあると共に、自分への希望は失ってはいなかったのだ。

手が視点なのは、そういうことでもあるし、手ももっと一緒にいたかったということなのかもしれない。「手が視点」その設定を受け入れることができれば面白さに変わる。

アニメーションも日本とは全く違うアートタッチなのが刺激された。