さまんさ

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男のさまんさのレビュー・感想・評価

3.1
足尾銅山の話も水俣の話も結構遠い昔の話で社会科で習って公害問題て80年代までに大体解決したものと思いがちだったので、80年、90年代とことが発覚してつい最近に至るまで闘争が続いている実話が、アメリカのような先進国で起きていた、ということがまず衝撃。
見れば見るほど、え、割と最近やん(90年代が最近かどうかは個人の所感です)となる。
恐ろしい。
そしてデュポンという会社も聞いたことあるし、テフロン?フッ素加工?のフライパンも使ったことあるし、どんどん話が卑近なものとして切迫してくる。
しかもそれが50年代からずっと…となってくると蓄積された年月の重みがすごい。
犬がクルクルと自分の尾を追いかける病的なシーンを見て、日本の公害のさまざまな映像資料が脳裏に去来する。
小学生の頃、社会科の授業で見たアレだ。
NHKの映像の世紀で見たアレだ。
おそらく思想的に偏りがある教員が熱弁を奮っていたアレなのだ。
アレは過去の日本や、後進国と呼ばれる国々でだけ起きていたことじゃなかったんだ。
その衝撃が凄かった。

ただし、話としては良いことの偉業を成し遂げようとすると、人は家庭生活及び金銭を犠牲にしなければならないお定まりの、正義感と使命感に殉じて彼は全てを投げ打ったのだルートなので、
いい加減、悪いことしないと儲けられない定説をひっくり返す、そんなに正義感とかなかったけど、やるべきことを淡々とやって淡々と勝ちました、みたいな世の中になっていかないものかと思うんですよね。
非凡な努力家が困難な道を歩まないと映画にならないのは分かるんですけどねー。
社会貢献しつつ健康で文化的な生活を送り、なおかつ収入も保障されたい小市民としては、なんだかなぁ、と言う気持ちになります。
ラファロおじさん、どうしたらいいの!