Martha

羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来のMarthaのレビュー・感想・評価

4.3
手書きの温かみある画面とストーリーがとても良かった。もののけ姫と呪術廻戦を交ぜた感じ。cv櫻井孝宏ってなんでいつもこうなんだろうね…戦いのラストシーンは滅茶苦茶切なくて泣いてしまった。
フーシーを日本の文化や信仰に置き換えると、土地を荒らされ信仰を捨て去られたことで復讐に燃える荒御魂になってしまった土地神的な存在かなって。彼をそうしてしまったのは人間だけど、最後の散り方が最高だった。

シャオヘイに善悪がわかるのかってムゲンは聞いたけど、何が善で何が悪なのかなんて、結局最後まで分からなかった。
一つ救いだったのは、誰もフーシーのことを悪いヤツだとは言わなかったこと。
人間を守るためにあそこまで妖精同士で闘って、多くを投げ打っても、彼らは感謝ずらしてくれないだろうし、今後も妖精が一つでもボロをだせばその危険性を声高に叫ぶだろう。悪い人間ばかりじゃないのも事実だけど、妖精を恐れる人間が多いのも事実。これからも妖精は本来の自分を隠して、故郷から離れて決められた館で暮らさなくてはいけないし、故郷を奪われた憎しみを消化できないまま、苦いものを飲み下しながら人間と共存していく。自分が妖精だったらそんなの耐えられないし、フーシーについて行くと思う。そして彼を失ったら今度こそ人間を、彼らに屈した同胞を許せないかもしれない。でも、人間も人口が増えていく中での生存戦略として自然資源を利用して種の繁栄を計っているわけで、些かやりすぎな面や利己的なところはあれど、善悪なんて結局誰にも分かりはしない。
Martha

Martha