あか

タイトル、拒絶のあかのレビュー・感想・評価

タイトル、拒絶(2019年製作の映画)
3.5
めちゃくちゃ良かった。
終始固定化されたキャラクター造形、同じ待合室で繰り広げられる群像劇。だからこそ、それぞれに焦点を当ててからだと見え方も全然変わってくる。舞台的な言い回しや、怒鳴り合い、逆にチープにしかならないのが本当に悲しくなる。彼女達の叫びが世間にとってのそれであるようで。風俗嬢の話なのにみんなずっと服を着ていて、それも自分のキャラクターを体現するかのような服を着ていて、自分からその抑圧の殻を身に付けざるを得ないかのようで、画だけで心が苦しくなった。
モトーラさんの役が個人的にとても良い味を出していた。彼女自信の持つ独特の空気感、一番常人離れしているのに、一番常人の役をやっているっていう所から本当にこの映画の主題そのものだと思った。お姉ちゃんは彼女の為に頑張ってるのかなと思ったりもしたけど、やっぱりそうではないみたい。でもお姉ちゃんを一番理解してくれてるのは彼女のようだけど、やっぱり全て受け入れてくれる存在ではないみたい。そんな、巷で言われるこうだからこうの自然な理由付けがどうにも出来ない、絶妙な姉妹関係が描かれているのがとても良かった。最後彼女に起こる恐らくな不運は、お姉ちゃんが唯一立ち位置を下であると体現していた存在によるもので、でもそれも因果応報的に見えるものの決してそんな訳はないわけで。そんな、理由付け、ストーリー性がないのが人生だし、そんなとっちらかった人達がそれぞれとっちらかってるのが世の中だし…って言葉にするちなんかやっぱり違う気がしちゃうから「タイトル、拒絶」
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