よねちゃん

きみの瞳(め)が問いかけているのよねちゃんのレビュー・感想・評価

4.0
これまで幾度となく彼の作品を劇場鑑賞してきたが、特に最近公開のふりふらは言わずもがなの秀逸作品となった三木孝浩監督が本作を演出・監督。恋愛青春映画の申し子とも言うべき彼ゆえに、絶対期待値をはるかに越えるはずとの思いを抱き、公開までとても待ちきれなかったので、特別先行上映にて鑑賞。
やはり、流石に三木孝浩監督の演出。病院でまさかの再会シーン、飼い犬に吠えられ気付かれそうになり顔を背けるシーン、ラストの海辺のシーンと、3回も嗚咽しそうになるのと目から涙が溢れるのを堪えるのが大変だった。
事前に年の離れた主役2人をキャスティングした理由は一体どういう理由だろうと考えていたが、そんなの全く考える必要がなくただの取越し苦労に過ぎなかった。明るく前向きに生きようとする盲目の女性役の吉高由里子も、裏社会に足を踏入れ過去を背負い続ける影のある寡黙な青年役の横浜流星もハマり役で、むしろ彼らでなければ、本作の空気感が出なかったから、キャスティングはもう絶妙。キックボクシングシーンの横浜のキレのある身のこなしと肩甲骨のくぼみなど肉体面の造り込みは、普段から格闘技をこなす彼らしい軽やかで無駄がない、単に役とは思えぬ完璧な動きも見ものだ。
あと、本作で見落としてはいけないのが、こんな役普段この人がやらないだろうという役に挑戦しているところ。町田啓太は、善良で優しい青年役が多いが、今回は孤児院時代の不良の兄貴分で裏社会で暗躍する悪役に、田山涼成さんは、中間管理職の上司や刑事役、温厚で感情豊かな老人役などが多いが、温情を秘めながらも厳しいキックボクシングジムの会長、優しげな目線で見守る母役が多い風吹ジュンさんが、遠くから見守るシスター役にと、こちらも目が離せず楽しみなところだ。気に留めて観ると、ますます印象的で記憶に残る作品になるだろう。
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