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プリズン・サークルのりのレビュー・感想・評価

プリズン・サークル(2019年製作の映画)
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島根の刑務所で実施されているTCという対話を軸にした更生プログラムが題材のドキュメンタリー。

受刑者たちは一見すると穏やかな人物なのに、語られる加害体験や生い立ち、道徳観は正直わたしの想像が及ばない部分も多々あった。
ニュースなどでよく目にする「愛情不足」「社会への不満」といった薄っぺらい言葉だけで片付けることのできない闇とやるせなさを突きつけられた。

同じ受刑者同士で語り合うことで、真に共感しあえたり時には厳しい言葉をかけたりすることができるのだろう。教育というよりも、セラピーに近い印象を受けた。

出所してからも受刑者たちの試練は続いていくわけだが、再犯率が通常の半分以下というのも納得である。
暴力の連鎖を止めるのに本当に必要なことは何なのか考えさせられる、良い作品だった。
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