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すばらしき世界のo183のレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.5
この世における「愛」を求める姿を考えさせられるすばらしい作品。

幼い頃から愛情に恵まれず、それを求めるうちにカタギではない仲間にその片鱗を見て足を突っ込んでいく。
その中では、義理や人情といった形で愛に似たようなものを感じることができ、これまで満たされなかった承認欲求が満たされていく。
本当はただ自分が必要とされ、愛される場所が欲しかっただけで、それをカタギの中で見出せなかっただけなのだろう。
幼い頃に自分の存在意義や愛情を感じられる場所があることの大切さを訴えかけてくるように思った。

そして、カタギの世界での愛情は義理や人情のように見えやすいものではないから、一度踏み入れた人にとっては生きづらいものなのだろう。
三上の元妻との会話から、そんな心理を感じることができる。

そんな社会で生きていくためには、いろんなものに感化されるではなく、自分にとって大切なものを選びとることが大切だと、身許引受人の先生は言う。

本当にこの世は我慢の連続であり、そんな世界で葛藤する三上の姿は、多くの人が心の中で抱える生きづらさを表しているように感じた。

身近なところから「愛」を伝え、お互いを認めていける世界になったとき、すばらしき世界になるのかもしれない。
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