KEKEKE

すばらしき世界のKEKEKEのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.0
- 役所広司が凄すぎるこの一言に尽きる
- 重要なシーンで彼の顔にカメラが向いてないシーンが何箇所かあって、今どんな顔してるのか見せてよーって思ったのだけれどこれは意図的なんだろうか
- もどかしい気持ちにもなりつつ想像の余地でもあった

- 彼が今村昌平のうなぎで過去に同じような出自の役を演じていることがこの映画に与える意味はなんだろうかと気になり、見返してみたいと思った

- 映画全体としては尺の問題だろうかコミュニケーションの描き方に違和感があった
- 差別から和解へのスイッチが突飛で、実際はその中間の時間に多大な労力を割くだろうなと思った
- 弱冠にして犯罪に手を染めた少年時代、13年の服役期間、一度も描写されない母親の姿、それら全てを役所広司がその演技一つでそこに現前させる
- 監督の作品を他に観ていないから三上の周りの人間の浅薄さやおめでたさが演出なのかそうじゃないのか判断できなかった
- 人間がこちらに善意を向けてくる時のあの絶妙な薄気味悪さ居心地の悪さ、それが悪ではなく確実に善であることの気持ち悪さ、あれが演出なんだとしたら凄すぎる
- 受け取り方次第ではただ関係描写が薄いだけにも捉えられる
- それ次第でこの作品の結末の意味がまるで変わってくるので重要なポイントだと思う

- このタイトルは皮肉でもありそう信じたい私たちの願いでもある
- 正論ではどうにもならない現実をテーマに、結局三上を正論の中に閉じ込めることしかできなかった社会の限界を描いた
- 善の持つ暴力性についてなど想いを巡らせる必要のない私たちと、実際そうするしかなかったとしか言えない人生を歩んだ人間が、この社会の善をどう受け止めるのか
- 1人の人間の生き様を描いた時に立ち現れるのは、私たちが彼らに投影するような社会的役割を模した人形ではなく、彼らの中に最期まで消えなかった大切な人との記憶である

- 地獄への道は善意で舗装されている
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