サラダバー

花束みたいな恋をしたのサラダバーのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.8
変わらないことへのイラ立ちと変わっていくことの寂しさ。

以前まで純愛作品といえば、「不治の病」と「性描写がない」ということが恋愛作品の王道として描かれていました。が、この作品は不治の病もありませんし性の描写もしっかりとあります。

なのにこんなにも切なくて胸に刺さる。それは脚本の坂本裕二による2人のやりとりや会話の節々に否応にも共感せざるを得ないからです。ものすごく感情移入させられます。

そこへ彼女が変わらないことに対するイラ立ちと彼氏が変わっていくことの寂しさが丁寧にグラデーションで描かれているのでものすごく突き刺さります。

僕は普段恋愛映画はあまり見ないのですが、これはとてつもなく普遍的で新しい恋愛映画でとても楽しませてくれました。



あと、これは余談ですが、有村架純演じる八谷絹は確実に浮気をしています。ネタバレになるので詳細は書けませんが、それを匂わせるシーンをあえて二つも放りこんできているのはそういうことです。ただ、それをはっきり描くと全然意味が違う作品になるので描いてないだけです。これってものすごくリアルですし、そういうところをこちらで加味するとより楽しめると思います。