あや

花束みたいな恋をしたのあやのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.1
大学時代、趣味も価値観も一致して正に運命のような出会いを果たした麦と絹。すぐに同棲を始め、素朴ながらも幸せな日々を送り、現状維持こそが最大の幸せだと信じていた。しかし、麦が生活の為に夢を諦めサラリーマンとしての新たな生活を始めると、次第に麦の価値観も変わり始めた。

パートナーになる人だって自分と全く同じ人間ではない訳だから、そんな他人と長い年月一緒にいるということは、その二人の間には共通の価値観や、特別な共通点から生まれた居心地の良さだとか信頼関係がベースとしてあるということだと思う。それでも、環境の変化や年を取るにつれて価値観が変わることは大いにあり得るから、かつて同じだった価値観や共通点も気付いた時にはお互い全然違うものになってしまってることも少なくないはず。というよりも、いつまでも似たもの同士でいられたら1番幸せだと思うけど、残念ながら誰もがいずれ直面してしまう問題だと思う。

だから、今まで共通していたお互いの考え方や意見が衝突し始めた時こそが二人の将来の分岐点だと思う。映画を観て感じたのは、二人の信頼関係のベースにある、”二人が大切にしてきたもの”をどちらかが大切に思えなくなってしまったら終わりだということ。価値観が変わること自体は仕方がないからこそ、変わるものが増えていく中で変わらないものを大切にするということがとても重要だと思う。お互いの変化に対してどのようにして向き合っていくかという壁を乗り越えてからが、本当のパートナーになると言うことではないでしょうか!

幸せの絶頂を味わいながらも生々しい現実に打ち勝てなかった二人の切ない物語です。
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