あか

花束みたいな恋をしたのあかのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
3.5
なんてロマンチックな映画なのでしょうか。
こんな出会い、恋は始まるしかないでしょう。
こんな部屋、いつなん時もばえるでしょう。
こんな別れ、涙を流すしかないでしょう。
どこを切り取ってもロマンチックで文学的で映画的で、本当に花束みたいな恋の話。

二人の出会う時は、服装からして「ああ、もう住んでる世界一緒の人達だ」というどんぴしゃ具合。赤と緑に、チェックの取り入れ方がもうイラストのよう。そしてそこから頗る全てがどんぴしゃ。初めて運命の出会いを目の当たりにした気持ち。ジョナサンでのお付き合いの始まりも、白いスニーカーも、とにかく運命的。
そこから始まる二人の眩しいほどの恋物語。とにもかくにも二人の散歩やお部屋がまあばえるばえる。どこを切り取っても画になるし、こんな日常過ごしたい、こんな部屋に住みたいと観客誰もが思ったはず。そんな画になる眩しい日々達が、一つ一つ積み重なって増えていく。どこを切り取っても映える、つまり全てが大切な日常。そんな日々の積み重ねは、とにかくロマンチックな演出のオンパレードで、お花を一つ一つ重ねていくみたい。
そして最後、「始まったあの場所で終わるのだろう」と思いきや、そうではない。そこまでしないか、と少し寂しい気もしながら観てたら、とんでもない。史上最高のロマンチックがありました。最後までなんて運命的で出来上がった物語なんだ。二人の恋の束が輪を閉じて、綺麗に結ばれ過ぎた事に泣くしかない。
その後は花束を眺めて思い出を語る楽しい日々が少し。
冒頭、こんな二人のお話かと思いきや、そんなことがあった二人のお話でしたか。綺麗だからこそあっという間に消えてしまう花束が、これまた運命的にひょっこり顔を出す。そして、かつての花束を見つけ、興奮した麦君が伝えるのは、大学中の人々ではなく、そんな花束の欠片の残った部屋で、欠片の一つでもある一匹にだけ。
結局最後まで、ロマンチックな花束みたいな物語だったけど、バラ百本とかじゃなく、カラフルな花、小さな花、綺麗な花、淡い花、たくさん詰まった優しい花束なのだろうなという二人の恋の物語でした。
あか

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