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花束みたいな恋をしたのEchoesのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
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2人が出会い絹が麦の本棚を初めて覗いた際、本、映画、音楽と趣味が一致することに驚くシーンがある。
社会学者ピエール•ブルデューの著書ディスタンクシオンによると人の嗜好には一定の統一性があり、ある領域で趣味が一致する人とは他の領域でも一致する可能性が高い。そしてその傾向は出身階級や家庭や学校での教育といった社会との関わりの中で形作られるものだという。
絹の両親は広告代理店勤務で、飛田給にある実家はかなり太そうだ。麦の父親も大学既卒の息子に月5万仕送りするくらいの余裕はある。同じように実家に余裕があったから2人とも都内のそこそこの私大に通い、良いコーヒーを飲んで本やiMacを揃えて同じ趣味を共有できる。
一方で絹は実家が都内にあることもあり、職業を選択する際に多少のリスクを取ってでも自分のやりたいことを優先することができた。新潟出身の麦は、東京で暮らすためには過酷な労働環境の職場にしがみつき続けるしかなく、仕事に忙殺されるうちに今まで好きだった趣味を楽しむことができなくなってしまう。
この2人がもともと持っていた経済資本の違いが顕在化したんだと思う。
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