ナリコ

ナイン・デイズのナリコのレビュー・感想・評価

ナイン・デイズ(2020年製作の映画)
4.2
とても面白かった。

人の生涯をチェックする仕事があったら一回就いてみたいもので。
それをチェックするテレビがブラウン管だったり、それを記録する媒体がビデオだったりで味があって良かった。ただまあ一人の人生で一体何本使う気なんだよという感じがしますが…役所とかでWindowsのすげえ古いバージョン使ってる感じなんだろうな。

何人かの候補者の中から9日間かけて転生させる人間を選ぶ訳ですけど、それを選ぶのが人間として生きたことのある存在なので、やっぱりその性状であるとか、好みが出てしまう。
ウィルは恐らく前世でとても悲惨な人生を送っていて、なもんで世界を憎むというか、相当悲観している…から、ザジービーツとのやり取りが全然噛み合わない。世界に対する焦点の当て方が違うので。
彼がかつて選んだアマンダはやはり生まれ変わっても世界に悲観して自殺してしまう。
というところで、同じく今回選んだ方も…というのが示唆されている感じがして切ねえですね。

今生きている世界は確かに嫌なことも多いですけれど、ちょっと視点や当てる焦点をずらしてみれば、案外良いところも見つかるかもよ?
という救いが提示されるラストは、ウィルと同じく悲観的な価値観を持っている自分なんかにはとても刺さりました。

もっと多くの人に見られるべき作品かと思います。
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