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カモン カモンのottottoのレビュー・感想・評価

カモン カモン(2021年製作の映画)
4.3
ラジオジャーナリストをしている中年男性・ジョニーは、少年・少女の思いをインタビューする仕事をしていた。独身の彼だが、妹から頼まれ数日間甥っ子の面倒をみることに。子供の扱いに慣れていると思っていた彼だったが、現実の子どもの面倒を見ることは苦悩の連続。預かる期間も延期になり、各地のインタビューに甥っ子も同行することになり…


これは"大人"と"子供"の話。知識の差や責任はあれど優劣はなく、お互いを一人の人間としてリスペクトすることの重要性が描かれている。甥っ子・ジェシー役を決めオーディションで、イギリス人の彼は見事にアメリカ英語を使いこなし、アドリブまで演じたそうだ。そのことで主演・ホアキン=フェニックスと監督・マイク=ミルズは驚かされ彼に決めたという。作中でのジェシーは知的で好奇心旺盛。僕らに理解できない部分を得られる、そんな大人と子供に優劣のない関係性をどれだけ大切にしているかがわかるエピソードだ。

そしてこの映画の特徴としてモノクロ映像が挙げられる。試写会後のトークイベントで映画コメンテーターのLiLiCoさんがこんなに事を話していた。"モノクロであることで、この映画で大切な子どものインタビューなどの、「言葉」が引き立っている"と。とても興味深い意見だと感じた。現代と過去をモノクロとカラーで対比的に描いた"ベルファスト"や、煙突からの煙をカラーを引き立てるためにモノクロにされた"天国と地獄"などとは違った、この映画に必須な手法だったのだ。

最後に、過去は子供であり、今は大人である自分に重ね合わせ、いろいろと考える時間をくれた素晴らしい映画だったと思う。
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