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カモン カモンのこんにちはのレビュー・感想・評価

カモン カモン(2021年製作の映画)
4.1
ジョーカー以来のホアキンなので当然彼の演技に期待して鑑賞したわけだけど、ホアキンよりもジェシー役のウディー・ノーマンの演技に圧倒された。

こんなに幼くて、聡くて、憎らしくて、愛らしい等身大の子供を完璧に演じられるのは本当に凄いと思う。まさしくミニホアキン。

ストーリーはとてもシンプル。
子育ての経験のないジョニーが、甥っ子であるジェシーの面倒を見ることになり、二人の関係性の変化と、それによって生じる周囲の人間の変化を描いている。

ジェシーは感情をそのまま表現することが苦手で、あの手この手で大人を困らせながら彼なりの自己主張を行うが、
ヴィヴやジョニーがジェシーに対して子供だからと大人の価値観を押し付けるのではなく、人と人との接し方をしているのが印象的だった。

子育てでも、親子でも、兄妹でも、互いを理解し合うのは難しいし、だからこそ愛おしい。

そんなジョニーとジェシーのやりとりに心温まる映画だったのだけど、たぶんこの映画が本当に伝えたいのはそこではなくて、「都市と、そこに生きる子供たちの未来」なんだと思う。

劇中いくつかのアメリカの都市が出てきて、街中の風景と子供たちのリアルな価値観がインタビューという形で何度も映し出される。
モノクロであることで余計な情報が削ぎ落とされて、「都市」と「言葉」がストレートに伝わる。

ただ自分は日本生まれ日本育ち。
渡米経験もなければアメリカの都市やその背景に明るくもない。
この作品が本当に伝えたいことを満足に受け取れなかったのが本当にもどかしかったし、エンドロールでは悔しさすら感じた。

勿論そんな高尚なテーマを意識しなくても楽しめる作品ではあるんだけど、演技やストーリー以外にも受け取りたいものがある一本だった。
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