ジェシーとジョニーの距離感の描き方が繊細でリアル。
ジェシーは物語でよく登場しがちな“物分かりのいい子”でも、“異常に荒々しい子ども”でもない。語弊があるが“普通の”子どもである。自分が愛されてるか試すためにいたずらしたり、かと思ったら「眠れない」と言って一緒のベッドに潜り込んだりする、そんな普通の子どもである。
ジェシーは物分かりのいい子を演じた時があった（NYに行く時）。しかし、彼の心は耐えきれずついに心の内が漏れ出た瞬間があった（歯磨きのシーン）。“本当の僕は心の奥にあるんだよ”と。
歯磨きのシーンは私たちが子供に対し描きがちな幻想を打ち破ってくれた瞬間とも言える。子供は素直だから全部表現してくれるとでも？言えないこと、大人の顔色を窺って、大人が欲しいと思う答えを言うことだってあるよと。
私たちはともすれば人に対して一貫した態度を求め、望むきらいがある。だから、自分の中にある瞬間に湧き上がった感情を抑えて、見ないふりをして放っておいたりする。ジェシーも子供ながら感情を抑え、“物分かりが良い”になろうとしていた。しかしジョニーは真正面からぶつかり自身の感情に素直に、感じたものを出す見本を見せた。
クライマックスの、森林の中でお互いに叫び合うシーンはそれが集約されたところだと思う。
“先へ先へ”。感情を置いてけぼりにせず、どんなに面倒な気持ちでも一緒に歩んでいこう。
