吉田

カモン カモンの吉田のレビュー・感想・評価

カモン カモン(2021年製作の映画)
4.5
結構前に見た作品ですが、このタイミングでの記録



すごく好きな作品です
A24節の効いた構図や画角、モチーフや画面、そして音楽や音もさることながら、演者も負けじと人間像を織り成していく

本当に曲が大好きでした、このどこか清々しい朝のような、かといえば街灯や部屋の電気でキラキラと照らされる夜の街のような曲調、マイクが拾う街の喧騒、人の声、2人の声
そこに白と黒のみで構成された画面が重なる
時々挟まれる風景にうっとりしながら鑑賞しました

子供へのインタビューシーン、各々が過ごす部屋で社会や、友人や家庭や自分のことでの漠然とした不安を自分の言葉で伝えようとする姿がすごく印象的
自分があんなに小さい頃、あそこまで考えを巡らせて生きていたかな、と思ったりもしたけど、子供って自分なりの視野で色んな世界を捉えていることを再確認したし、その尊さに心打たれました

よくある大人と子供の軋轢というか、すれ違いというか
あの二人の間に生じるそれをフォーカスして描きながらも実際の世の中を生きる子供たちの声も挟んで、作品内では終わらせない、問いかけられる映画でした

大人は「大人には色々な事情があるんだ」と
でも、子供にだって色々ある
分かり合うというか、理解し合うことは出来なくても一生懸命自分の言葉で自分のことを伝えようとするジェシーを見て、自分のことだけで完結しようとしたことに気づいたジョニーの笑いがこぼれる様子が印象的

白黒だったはずなのに、鮮やかな記憶で思い出される
それほどに世界は素敵だし、それをわかることの出来る私たちはとても幸せ



きっかけはなんでもいい、分からなくても理解したくなくてもいい
ただ、君の話を聞かせて
吉田

吉田