昨年見そびれた話題作が配信されていたので、早速鑑賞。
聞きしに勝る傑作で、大いに楽しめた。
ドキュメンタリー風の映像は、時に揺れに酔ってしまったりして苦手。でもこれは長回し、固定カメラが多いので安心して見られた。ダルデンヌ兄弟の映画に似てる。不穏な画面が続いても、安定のクオリティで不快にならない。
2つの事件が、由宇子を中心にもつれ絡んでゆく。事件の真相は何か?サスペンスミステリーとしても見応え十分でエンタメ性が高く、とても楽しめた。明かしていく謎と明かしていかない謎があり、それがひたすらに由宇子の目線のみで明らかになっていく。最近観た中だと「空白」や「さがす」に近いかな。
そして、由宇子が判断する「正しさ」とは?
報道するプロとして、そして事件に巻き込まれる当事者としての判断が揺らいで、そこに齟齬が生じてくるのが生々しく痛々しい。
由宇子自身は一度も泣いたり狼狽えたりして見えないのに、明らかに彼女の天秤が揺れているのが理解できる。脚本の巧妙さと主演瀧内公美さんの演技力を感じた。
ちょっと長いかな、とも思うが、無駄だと思うシーンも全くないし、飽きることもなかったので、この長さで正解なのだと思う。