由宇子の天秤の作品情報・感想・評価

「由宇子の天秤」に投稿された感想・評価

Yuta

Yutaの感想・評価

4.3
正しさ、正義とはなんなのか?に尽きる。
頭を抱えるしかない状況の連続。

人は人をどこまで信じれるのか。
そして、真実とはなにか。

嘘しかつかない奴も本当の事しか言わない奴も多分居ないんだろうな。

ユーロスペース満席だったし監督が名刺配ってた。
R

Rの感想・評価

-
カメラを向けることの暴力。
取材対象、仕事仲間、親、そしてあらゆることを秤にかけてた自分にカメラを向けることが彼女なりの正義なのか。
sidepocket

sidepocketの感想・評価

3.6
剥がしても剥がしてもできてくる瘡蓋のような、人の業が幾重にも重なり合っているような作品。業と書くと大仰なもののように捉えられてしまうかもしれないが、それはごくごくありふれた、誰しもが体感したことあるようなものでしかなく、だからこそ現実味を帯びた質量のあるものとして視聴者に襲いかかってくるのだ。

正義・真実といったものは一つの形を取り得ないし、そもそも人間は一つの正義を貫けるほど強くはできていない。
由宇子が取材していた過去の事件と、由宇子自身が現在進行系で関与することになった事件が、時が進むに連れて重なり合うかのように似た構造になっていく。父子家庭でいじめられていた女子学生と、その子と関係を持つ教師。
ドキュメンタリーディレクターである由宇子は被害者遺族との取材を通して、新たな光を当てようとする。しかしながら、それらの映像のほとんどは放送局側の都合の良いように編集されることになってしまう。どちらの側にも立たない由宇子は脚色せずに放送することを訴え続ける。
一方、木下塾の生徒である萌と実の父親が関係を持っていることを知り、真実を隠し続けることを選択する。どちらも女子学生の性的虐待であるが、由宇子の矛盾した行動というのが強く強調される。ここに至って視聴者は由宇子は"正義"の体現者ではないことを悟る。この二律背反な選択こそが本作の肝であり、我々の心に苦い楔を打ち込んだように思える。

由宇子は萌と親子のような関係になっていくが、問題の先送りにしかならないことに気づきながらもそのように過ごしていたのだろう(あるいは贖罪の気持ちからなのか)。
そのちぐはぐな関係は結局、萌の売春について問いただすことで崩れ去ってしまう。萌は「先生もか」と落胆したが、実の母親であれば真実はどうであろうと萌を信じる側に回っていただろう。そもそも萌は先生がそのような存在であることを望んでいたのだと考えられ、あとに続く言葉としては「先生も疑うのか」ではなく「先生も糾弾する側に回るのか」というような心情からの発話であると推察した。

最終的に由宇子は父親の不貞を萌の父親に告げることになるが、あの行動は志帆が隠していた真実を告白したことに端を発するものなのだろう。

ラストシーンで由宇子がスマートフォンの録画を(おそらく)自分に向けたところでクレジットに入るが、その間も音声は続いている。由宇子がスマートフォンで録画するというのは、この作品においては他人に真実を語らせるという象徴的な行動になっている。それを自分に向けたということは、この作品自体が由宇子自身の罪の告解のようなものだったのではなかろうか。
劇場2021-65 ES
『空白』からのハシゴ鑑賞。社会派2連発は流石に疲れた。

まず満席に驚き。休日昼回とは言え、本作が如何なるポテンシャルを持っているのか。私は
①主演の瀧内公美が好きだから
②予告編が極めて印象的であったから
③春組の取り組みが素晴らしいと思ったから
これらの理由で鑑賞。

まず何と言っても瀧内公美さん〜
『火口の二人』は衝撃的だった。まさに体当たり演技、そして一言一言のセリフの自然さがとても魅力的な俳優。『グレイトフル・デッド』はサイコパスをある種コミカルに演じている。そして『大豆田十和子と3人の元夫』での存在感といい今まさに旬の方。

本作でもこのセリフの自然さが際立っている。練りに練られたのだろうセリフが、彼女を通すことによって自然さを増す。心の声というか、人間らしさというか、、、とにかく役作りが凄い。

さてストーリーはというと、二つの軸があり由宇子の二つの顔(立場)を交差させつつ進展する。ドキュメンタリー監督の立場と、塾講師であり塾長の娘という立場。この二つの立場を「天秤」になぞっているのだろう。もちろん立場の上に引き起こされる出来事も天秤皿を激しく上下させる。この振幅の大きさに、観客は「自分ごと」と重ねて観ていかねばならない。自分だったら、、、どうするだろうと。

劇中の「問題が大きすぎるんだよっ」の一言に代表されるように、人は絶対的に正しいことと、その瞬間その状況において最善と思い込みたい「正解」との間を揺れるものだろう。本作の随所に織り込まれる「判断」の場面のスクリーン越しに、上下に振幅する天秤が見える。もうこう感じただけでこの作品を観た意味があったと確信。

そして由宇子が向き合う対象に咄嗟にスマホカメラを向けるシーン。向けられた相手の心の天秤も揺れる。そして由宇子はその片方の皿に錘を少しずつ乗せてていき、均衡が取れたところで心情を吐露する、そんなふうにも感じた。

兎にも角にも観ているこちらの天秤も揺れに揺れ、150分オーバーの長尺を、しかも劇伴無しでも全く退屈させず引き込んだ春本監督の手腕に脱帽。凄い作品でした。春組頑張れ!応援するぞ。

セリフが本当に自然なので、劇場以外で観ると聞き取れなかったりするだろうから劇場鑑賞を強くお勧めいたします。
非常に多角的に捉えていた。
まさしく天秤をしつづけられる映画的に素晴らしかった
女子高生自殺事件の真実をドキュメンタリーディレクターとして信念を持って追う由宇子だが…。
自分が由宇子だったら「もう嫌!!家帰って寝る!!」って言い出したくなる状況続きで辛い…
状況や立場が劇中ぐるぐる変わって自分の中での真実と最適解が揺らがされるすんごい映画でした。

聞き間違いかもだけど……
観終えた後ロビーで店員さんが
「エンディングの後が載ってるパンフ発売中でーす」みたいな事を言ってて、なんかひいちゃったな。
真のエンディングはTVerでって言われたみたいでその後があるなら映画の中で語ってよと。
こう

こうの感想・評価

5.0
これはモラルについてのアクション映画だ!
社会的なテーマが見え隠れするが、これは観客をグラつかせる要素であって、物語がどっちに転ぶかという物語装置であろうかと。
物語のレイヤーの重ね方と、ネタのバランスが絶妙で長尺でも飽きさせない。
dada

dadaの感想・評価

-
2時間半の劇中通して重苦しい緊迫感がひたすらに続いて見終わったらぐったりしてしまいました。映画の中に引き込まれて、気が付いたら映画の中の人物と一同じ目線になり次に何が起こるのか不安を感じ、何かが起こった時に驚いていた
監督がオリジナルの脚本でこれだけのストーリーを作り上げていることを知り、またびっくり。語りたいこと伝えたいことへの思いが強いゆえにそれがすごく刺さってくるけどむき出しであることがあまりに生々しくて登場人物たちがどこかに残り続けている
エコ

エコの感想・評価

3.9

このレビューはネタバレを含みます

主人公は、真実を追いかけるドキュメンタリーディレクター。仕事柄、真実の重要さを誰よりも熟知しているはずなのに、自分自身が、当事者になった時に、それまで否定してきた側と同じ行動をとってしまう。なんとも皮肉なこと。
しかしながら、その結末を予測できる人であればあるほど、彼女と同様な行動をとってしまうのではないかと思う。自分自身も、その可能性はある。
情報が拡散しやすく世間の目が厳しい今、自分や愛するひとを守るために、真実を隠したくなる気持ちはわかる。しかしながら、そのために傷つく人もいるし誤解されてしまう人もいる。本当に難しい天秤である。深く考えないと、真実を選択するのは簡単のように思えるが、現実はそんなことはない。
そのことを私たちに突きつけてくれた。うーん、深く考え込んでしまう。
KAJOGAKI

KAJOGAKIの感想・評価

3.7
・"正しさとは何なのか?"本当にこの一言に尽きる
・「誰々の為〜」と正義感ありありの由宇子の天秤も所々で我が身可愛さから来る振れ方をしているように見えたし、どの側から捉えるか次第だなと
・仮に劇中のどこがで別の選択をしたとしても必ず誰かが傷つく未来があると思うとちょっとやりきれない気持ちになる
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