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由宇子の天秤のatcyのレビュー・感想・評価

由宇子の天秤(2020年製作の映画)
3.6
どっち「側」ではなく、ただただ事実を報じる、報じなければならない役割の難しさ。報じる際の視点や情報量といった、報じ方によって受け手の捉え方も変わる。作中のイベントの出し方とタイミングが絶妙だし憎い。

社会は、世界は、真実を隠していた方が綺麗に回るのでは。その報道は正義なのか。そもそもそれは事実なのか。そんなことを何度も考えさせられる。
表現としては少しやりすぎかもだが、ラストシーン含め、作中、取材対象が変わっていく展開がとても面白い。
各取材時、立場や状況が異なる中で、1人間として、1ジャーナリストとして、判断を下さなければならない葛藤が見事に描けていた。そんでとにかく瀧内さんの表情が良い。河合さんとのシーンはベスト。

その一手で、たくさんの人の人生を変えてしまう力があるジャーナリズムの難しさ・怖さ。個人的には、そういった意味でも人工知能には出来ない役割であり、今後の社会においても、人間が責任をもって担っていくべき機能の一つだと思う。
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