ひよこまめ

エルヴィスのひよこまめのレビュー・感想・評価

エルヴィス(2022年製作の映画)
4.5
オースティン・バトラーの美しすぎるエルヴィス、これがトム・ハンクスかと唖然とした醜悪なトム大佐。
欠点は全て省いて、真面目でピュアな天才として彼を描いたこの作品は、私にはこの上ないエルヴィス讃歌に見えた。
クリスマス特番のリハーサルのシーンが胸熱。彼の本質が見えるシーンだと思う。
現代においても、もっと認められ語られるべきアーティストだという思いが、監督にあったのかなと。

私がプレスリーを知ったのは小学生の頃で、一回り年上の従姉が騒いでいたけど、わたしにはまだ良さがわからなかった。
この人の歌の魅力に開眼したのは、デヴィッド・リンチの「ワイルド・アット・ハート」。
ラストシーンのラヴミーテンダーがズキューンと来て、プレスリーの魅力はこれか・・・と。

この映画だと、ライブで客席に飛び込んでファンにキスを振る舞い、ステージにに戻る時に「2階席、ごめんね」っていうシーン。
さらっと流れていったシーンだったけど、キュン💗とした。
ちゃんとファンを見てる、わかってる、優しいプロのスター、エルヴィス。

華やかなシーンも多いのに、全編を通して哀愁と不安が漂い、エンドロールを見ながら何とも言えない無念さが込み上げてきた。
今の時代だったなら・・・と思うことばかりで。
ラストに流れる本人の映像と歌。
素晴らしい歌声と、顔色の悪さとのギャップに涙が滲んだ。

切なく辛い映画だったけど、もう一度観たい。
オースティン・バトラーの今後の活躍にも期待したい。
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