これは商業的な映画ではなく、戸田真琴さん自身のために制作した映画なのだなと思った。
フィルムによって描かれる淡い映像と、キャラの独特な言い回しが不思議な世界観を作っている。物語としてはほぼ成立していないし、セリフの言い回しも文学的と感じる部分と、ただ回りくどいと感じる部分があったりはするが、この作品に限っては大した問題では無い。
この映画の細部から、彼女が今までの人生を生きてきて、体験したことや影響を受けたものを何となく感じ取ることができ、面白かった。
また、小道具や画角の細部までこだわっており、純粋に画作りにセンスを感じた。
特に一章の「アリアとマリア」では撮影場所が植物園のみという限られた範囲の中で物語が展開されるが、場面が変わらずとも全く飽きなかった。
新しい道を歩んでゆく中で、元AV女優という経歴はかなり強いバックボーンになると思うので今後の作品に期待したい。
