くらら

眠る虫のくららのレビュー・感想・評価

眠る虫(2019年製作の映画)
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最近観た邦画の中でダントツで好き。金子監督と感性が近いかどうかで評価が分かれる作品かもしれない。「生者」と「死者」と「もの」の境界線が曖昧で、死者やものたちが発する声が優しい。この作品を観てから、日々の行動が少し変わるような気がした。普段気づかないものにも目を向けたり、耳を傾けたりしたいなとか、落とし物をちゃんと拾おうとか。
バスのシーンが特に好き。路線バスに揺られながら「このまま知らない終着地点まで乗っていたいなぁ」と考えることがよくあるので、いつの間にか終点まで来てしまい、知らない夜の街を徘徊するくだりはちょっと憧れる。夜の田舎のバス停のカットが美しかった。
可愛い童話のような雰囲気だが、死生観が独特で、且つフェティシズム映画でもある。アピチャッポンやホセ・ルイス・ゲリン監督作品に近いものを感じた。
観終わった後に夢心地な気分で夜を散歩するのが最高なので、もう一回観に行きたいです。その時はサントラ買う!
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