おこのみやき

バビロンのおこのみやきのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.3
無声からトーキーへ。1927年の大転換点。当時のハリウッドにとっては「バベルの塔の崩壊」だったのだろう。そうでなくともハリウッドの人種やモラルが混沌としていた状況は、まさにバベルの塔崩壊後の「バビロン」だった。マニーがネリーに通じないスペイン語を話す場面は象徴的だ。

『ラ・ラ・ランド』ほど音楽、構成が洗練されている印象はないものの、最後の回収力には目を見張るものがある。所々に『雨に唄えば』のオマージュが見られ、ついには「雨に唄えば」歌唱シーンも登場したため分かりやすすぎないかと心配したが、すべてラストに繋がっていたのだということが分かる。

しっかりハリウッドらしいアクションシーンも挟みつつ、壮大な映画史を振り返る、監督のハリウッド、映画への愛を感じられる作品。