通りすがりのいがぐり

バビロンの通りすがりのいがぐりのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
5.0
"夢"の柱

デイミアン・チャゼルは若くしてとんでもない映画を撮った。この映画の登場人物は夢を追いかける者と夢を掴んでいる者の2組に分けられている群像劇でありながら、初っ端からウンコとゲロで観客の心を最悪な方向にかき乱し映画作りの狂気と奇跡を同時に描き映画の存在意義を彼の理論で説いた狂人の戯言とも思えてしまう豪華絢爛で罵詈雑言が絶えない"夢"に溢れた映画を撮ったのだ。
俳優陣にセットまで全てゴージャスだが描いてるのは下品で目も当てられない光景と最悪なトラブルの数々。そんな状況下を描きながらもそんな中でも「人生はなんとかなる事もある」「映画は今この瞬間も誰かの血肉となり経験となって生き続けている」を映画の永続性で生まれる希望と共に描いている。理不尽といつ何時も起こり得る状況の中にも間違いなく映画だから引き起こせた奇跡は残り続ける事をこの映画で描いた事に疑問を持つ人も多いのも納得できる狂気の沙汰のような映画だが、間違いなく響かせるドラマがこの188分のパーティーには存在したんだ。

かつて存在して柱となった映画人達のドラマとして残り続けても良いほどの狂気。賛否両論上等な姿勢を貫きながら映画を語ったチャゼルに拍手を。