このレビューはネタバレを含みます
間と呼吸の取り方がこんなに伝わってくるアニメーションを見れたことが幸せ。ドキュメンタリーのように撮ったとパンフに書いてあったが、それでいて、アニメーションでしかできない色味や背景表現の作り出しているため、ここにしかないオンリーワンの空気感が出来上がっていると思う。
冒頭から雑踏と声の演出で、観客をこの映像に引き込んでいく手腕も見事。レイアウトの中に監督作品でよく使うメタファー的なものも盛り込みつつも、本作はそこまで口説いものではなく、むしろ良いスパイスになっていたと思う。(作品を上品にさせていた)
ただ、これだけ丁寧な作品なのに、とても残念だったのは、本編が始まる前の声優インタビュー。作品の中身について声優本人がどう思ったかどう演じたかにフォーカスが当たっている映像で、本作がイベントムービーであるかのような導入になってしまっている。
本編オープニングに繋がるパフォーマンスだったら、とてもワクワクできたのだけど、インタビューとして変に独立してしまっているために、映画館でみる身体のモードから急に現実に引き戻されてしまった。商業的に仕方ないとはいえ、もうすこしやり方はなかったのかな。