空葉

アンテベラムの空葉のネタバレレビュー・内容・結末

アンテベラム(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

『作家である私が夢の中で奴隷となったのか、自分は実は奴隷であって、いま夢を見て作家となっているのか、いずれが本当か私にはわからない。』

そんな胡蝶の夢の話かと思ったら、夢ではない現実の、それも現在の話…。

『過去は決して死なない 過ぎ去りさえしないのだ』

冒頭のこの言葉が、鑑賞し終わってから思い出された。


冒頭の長回しのシーンの映像が美しくて、そこでもう好きになってしまう。
燃えるような夕陽は冒頭だけでなく映画の中で度々映るけれど、本当に美しい。

終盤の台詞から、あの彼女は「教授」だったと思うのだけれど、ヴェロニカのシーンでも出てきた…?
いろいろと気になるところがありすぎてもう一回観たいよ〜!

ジュリアがエデンに対して「私はあなたを知っている」というようなことを言っていたところから、ヴェロニカが前世の姿で、転生したのが此処にいるエデンなのでは…?
と予想していたけれど、微妙に違った! 悔しい…

これが現代と地続きの世界だと考えたくなかったのもあって、
ヴェロニカ(過去)→エデン(未来)
(ヴェロニカが何らかで死んだ後に生まれ変わったときにはこんな世界になっていた…)
みたいな感じで考えてしまっていた

だから『エデン』の世界でスマホが鳴ったときも「やっぱり未来では!?」となったけれど、『エデン』が「私はヴェロニカです」と電話で名乗るまでは信じられなかった
混乱していたのに急に答えを出されて興奮した

綿の入った花束も来世を知っている人間の贈り物…と思い込んだし、
エレベーターの少女が「静かに」とするのも黒人の人形を引き摺るのも、彼女がプランテーションの白人側の住人だった前世を覚えている人間なんだ…と思い込んでしまった

ところでスマホを奪い取ってから「顔認証でロック解除しなきゃ…」の場面、
「緊急SOSをしたら位置情報込みで119や110できるんじゃなかったっけ…!?」というのが気になり過ぎてしまった

帰ってきてから調べたけれど、できるよね…? 違う…?
パニックだったから忘れちゃってたのかな…
覚えていたらあの協力してくれていた男性は死ななかったのかもしれないと思うと悔しい…

乗馬で逃げるシーンは、ヴェロニカの時に夫&娘の乗馬の写真を送ってもらっていたのを思い出して胸熱になってしまった

度々出てくる蝶、私は冒頭に書いた胡蝶の夢を連想してしまったけれど、モチーフとして使われる『生まれ変わり』『復活』の意味だったのかな…
作家から奴隷への生まれ変わり。
奴隷から作家の、自由への復活。

ポスターなどではその蝶が血を流しているから、自由を理不尽に奪われているという意味なのかな…とも思った。

もう一回観たいな〜!!
刻印と口紅のデザインが似ていた気もするし、受付の違和感やレストランの違和感とかももう一回確認したい…。
空葉

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