語られない現実と
語らない美学。
望まない妊娠をした主人公17歳のオータムは、従兄弟のスカイリーと親の同意なしで中絶できるNYへと向かう…。
原題の「Never Rarely Sometimes Always」とは、カウンセリングの問診で「一度もない、めったにない、時々、いつも」と、4択で患者に答えさせるための選択肢の引用。
このカウンセリングのシーンがこの映画が伝えたいことが凝縮されているような気がする。
オータムはなぜ妊娠するに至ったのか、相手が誰なのかを語らない。
旅を共にするスカイリーもその辺りには触れず、ただオータムのそばに居続ける。
女性にしかわからない、ただ黙って受け入れるしかなかった苦しみがこの映画でかなりリアルで残酷に描かれている。
映画技法としても、あえて「語らない」というのは好きな表現の一つ。
なかなか規模の小さい映画だけど、ぜひ多くの人に観てもらいたい一本。
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