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17歳の瞳に映る世界のetsuko125のネタバレレビュー・内容・結末

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

鼻ピは彼女なりの覚悟というか、やはり命を殺めることに対する自責の念は多少なりとも感じていて自分を傷つけ痛みを感じたかったのだろう。

帰りの交通費を使い果たしてしまったのはせっかく覚悟してNYに来たのに何もせずに帰るなんてあり得ないからだし、宿の援助を拒んだのは元々塞ぎがちで自分で何とかするというオータムの性格だからこそ。あの家庭環境だとそんな性格になるのも理解できる。何も不自然ではない。

結果、お金を得るためにスカイラーが性を売ることになる。それに対して他の手段もあっただろうと言われればそうだ。だけど彼女たちはまだ未成年であって、あの状況でその行動しかないと考えてしまうのはやむを得ないと思う。

1日目の処置を受けて、寝不足だし体調も良くなく不安で最悪な状態の時に、母親の声を聞きたがる。そこに彼女の幼さが描かれている。

オータムもスカイラーも、好んで性的行為に及んだのではない。


病院の受付や医師、カウンセラーはみんな女性。対してバスの運転手やチケット確認係、駅員、病院のセキュリティ係、ボーリング場の店員なんかはみんな男性だったな。パン屋(?)はスタッフが女性だったから、無意識かもだけど安心感があってリピート利用したのかも。


今までも気分が悪くなるほど壮絶なストーリーの映画は何度も観てきたけど、この映画は本当にキツかった。自分はまだ妊娠・出産の経験はないけど婦人科にかかったことはあるし、中絶や流産、不妊で苦労している人が周りにいるから。

そしてあえて観客に苦しさを体感させているのだろう。中絶は容易いことではない、推進したいわけではない。ただ選択肢だけは、選ぶ権利は本人にあげていいじゃないかと。
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