なな

クロエの棲む夢のななのレビュー・感想・評価

クロエの棲む夢(2002年製作の映画)
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アデル・エネルのデビュー作。
障がいについての理解や知識を持たずして見事に演じ切り、生まれながらの役者だと高い評価を受けた作品。

それから十数年、本作の監督クリストフ・ルッジアから数年に渡りセクハラ被害を受けていた事を告白した。(#MeToo運動)

behindからでも、彼は事ある毎に執拗にアデルの顔や体を触りコミュニケーションを取る様子が見られ、その片鱗を感じざるを得ない。

映画に映るまだ幼いアデルが、この作品から数年に渡り苦しんだ事を思うと、とても本作を評価する気にはなれない。

十数年経ったとしても、今後同じような被害者を出さないために、自身が受けた辛い経験を告白するには相当な勇気が必要だったはず。

この頃のフランスで映画界における性被害を訴えた俳優は数少ない。アデルはその点で重要な先駆者でもある。

この様な背景も踏まえて(ポランスキー等、他に経緯があるが)フランス映画界に失望し去ってしまったアデルは、今も演劇や活動家といった形で積極的に世の中に働きかけている。
そんな彼女を今後も全力で応援し、サポートしていきたい。
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