パラダイス・ロストの山崎素人のレビュー・感想・評価

夫と死別して1年ほど経ち、喪に服すのもいい加減飽きてきたころの未亡人はどこか開放的というか投槍なというかそんな感じの雰囲気を放ちつつ、行ける範囲であっちに行ったりこっちに行ったりする。
秋の映画や冬の映画を挟んで夏に戻ってきた今回は、前回の夏の映画の過去に束縛されたような雰囲気とは対照的にあっけらかんと未来に目を向けることを許容しているようなムードで、同じく原民喜を引用したりしなど円環的なフィルモグラフィを辿りつつ一周したときにはひとところに立ち止まっていた訳ではないことを示してくれたようで、なんだか嬉しい気持ちになった訳です。