juno007

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実のjuno007のレビュー・感想・評価

3.8
三島とは思想的には相容れないが、その人間性には大いに惹かれた。内田樹が言うように、三島は一度たりとも、相手を困らせてやろうとか、追いつめてやろうとか、論理矛盾を指摘するとか、していない。議論が噛み合わなくなっても、言葉を尽くし、懸命に意思の疎通を図ろうとする。

最後のナレーション。「あの日、この900番教室に満ちていたのは、三島由紀夫と1000人の東大全共闘の『熱と敬意と言葉』だった」「自分はどう世界と対峙し、どう生きるのか、という問いを前に、彼らは真摯に言葉を交換した」

時代は進み、コミュニケーションの手段は多様化した。しかし、熱と敬意にあふれた言葉はどれほどあるのだろうか。

いずれにしても、ディベート力の劣化がはなはだしい日本の政治家どもにこそ見せたい映画だ。
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