ち

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実のちのレビュー・感想・評価

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私はおつむが弱いので討論シーンは言葉を聞き取るので精一杯。
日本が再びこんな熱気に包まれることは二度とないなあ。
頭良すぎる変わった人ってそのまま年取ると老害っぽくなっちゃうんだね。
あとこれ観に来る観客も老害多いから気をつけたほうがいい。観る席はちゃんと選んだ方がいいぞ。

この時代を生きていた人がまたこの時代を懐かしく思い焦がれるのは自然なのかなあと思う。今の冷めきった日本がまたこんな熱気に包まれたら、と思う気持ちはわかる。でも今の若者はこんな熱気を羨ましくは思わないし、ここまで熱を持って日本を憂う気力がない。自分のことでみんな手一杯。
画面の中の人々は自分たちの力で日本を変えられると信じてやまない。その想いが彼らを突き動かしてるのであって、現代の人々は自分たちが力を合わせても国を変えられるとは思ってない。それは投票率を見ても明らか。実際自分のことだけが可愛い政治家たちが自分たちより国民を優先するとも思えないしね。
ただ、三島由紀夫は今の20代の私からしてもすごく魅力的に見える。会社でも40代から上の人間の中には力で押さえつけて言うことを聞かせようとするパワハラ野郎がわんさかいる。年齢が上がれば上がるほど、自分の経験が一番だと信じてやまず、下の意見を意見とも思わず口答えと取り、聞こうとしない人間が多くなる。
今の時代ですら、そんな奴らが上を占めているのに、三島由紀夫は年齢や経験の差で相手を卑下するということをしない。
自分が絶対的に正しいんだという考えから力でねじ伏せようともしていない。
相手と対話をし、若者の話を聞き、その上で自分の意見を述べ、説得をしようと試みている。
どんな挑発にも乗らず、ユーモアを持ってそれを返す。
今これができる大人はどれだけいる?
驕らず、若者の話をしっかりと自分と対等の意見として聞き入れた上で正当に正しい言葉で話そうとしてくれる人間は今の時代にいるのか?
三島由紀夫の思想がどうだとか考え方がどうだとか、そういうことではなく、その姿勢を貫き通す事ができる人として正しいその姿がめちゃくちゃ胸に刺さった。
ち