マクガフィン

劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班のマクガフィンのレビュー・感想・評価

3.0
過去と未来を紡ぐレシーバーのSF要素は、タイムパラドックスの矛盾を無視した、過去を変えれば未来が変わる「バック・トゥ・ザ・フューチャー」設定だが、タイムトラベルと違いサクッとしていることがいいような。しかし、自分たちの都合よく、生命や運命を司る主人公・坂口健太郎に違和感がある。過去を正して未来を変えれば、そのことから派生する出来事も多いはずなのに、葛藤や邪念が全くないのは如何なものか。ドラマ・SPドラマ未見。

政治への癒着問題は分かるが、主人公と犯人の似て非なる、中立性を確保する精神と行動が対比になっていない残念さ。過去の事件が呼応することが表層だけで、トータル的に様々な奥深さが欠けているモチーフの思慮不足。純粋の先の、別世界で大量殺人を実行した者が警視総監になることは、傍から見れば相当な悲劇に。

客観的で中立的な視線で眺めると、主人公の信念と違う矛盾だらけなこともあるが、作品の大半の割合をそつなくこなす坂口健太郎の頑張りに、意外と飽きが少なかった。