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パピチャ 未来へのランウェイのwalnutのレビュー・感想・評価

3.4
祖国への愛が伝わる作品だった。

理不尽な死、女性差別、宗教観と世界情勢の齟齬、いくら自分のふるさととはいえ、嫌になる要素ばかりだが、主人公は「わたしは満足している。ただ闘う必要があるだけ」と言う。
自分だったら、手段さえあれば逃げたくなる。問題を遠ざけたくなるのに…
そこが主人公の強さだと思う。


ハイク(アルジェリアの伝統的な白い大判布)からいくつものシルエットのドレスを生み出す様が、本来彼女たちに許されるべき生き方(可能性)を表しているようだった。

血で染まってしまった白いハイクを洗い、それをさらに紅色に染めるシーンは、主人公の決意を感じ取れて切なくも印象的なシーンのひとつ。


正直、アルジェリアの宗教観について不勉強だったため、ヒジャブの意味や学生寮に対する印象など、把握しきれていない部分が多いが、常に理不尽さと隣り合わせであることは嫌でも理解できた。

あと嫌な男性ばかりだったが、全体的に男性の登場場面は比較的少ない気がした。
彼氏、友人の彼、生地を販売する男性、バスの添乗員、寮の監視員…
こう書き出すと結構いるか笑
それ以上に女性たちが寄り添いあっている姿が印象的な作品だった。
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