こうしくん

MINAMATAーミナマターのこうしくんのレビュー・感想・評価

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)
4.5
無知ゆえにものすごい衝撃を受けて、見終わった後は数日引きずるような感覚のする作品でした。
福島原発の処理水放出が始まるというタイミングで見たのもまた、、
濃縮はされないという話らしいけど。
Amazon狙ったのか?と思うくらいのタイミングでのプライムビデオ配信開始。

水俣病の症状ってほとんど知らなかった。
麻痺やけいれん、手足などの奇形、視野狭窄、脳の障害。重度だと介助なしに一人で生きていくことは不可能。
でもさ、國村隼演じるチッソの社長は悪として描かれてるけどその人の言葉も一理あって。
チッソの製品によって便利さを享受してる人間の方が、被害者よりもずっと多かったのだろう。
それは現代においても同じであって、知らず知らずのうちに何かの犠牲の上に成り立つ便利なもの・素敵なものをきっと大多数の人間が享受している。(ブラッドダイヤモンドも同じようなメッセージだったな)
こここそがこの作品において一番考えなきゃいけないことだし頭の痛い問題だなぁと思った。

ジーンのキャラクターがとても魅力的。
ぶっきらぼうに見えるけど実は写真に対する熱い情熱や深い愛、人への優しさも持っている人。
あぁ〜やっぱり大好きジョニー・デップ。
と、しみじみ思いながら見てた。
非商業的でメッセージ性の強い作品に出ることを驚いてる人が多いみたいだけど、彼の本質ってこちら側で、パイレーツオブカリビアンこそが彼の"マイナー"だと思ってたんだけど違う?

青木柚くんが出てるの知らなかったなぁ。
ジョニーとタイマンで芝居してんのすげー!とか思ってしまった。


※ここからネタバレありストーリー。
備忘録のため細かく書いているので注意。





アメリカを代表する写真家の一人と称えられたユージン・スミス(ジョニー・デップ)。今は妻子と離れ、酒におぼれる生活。
そこにアイリーンという女性が現れ、熊本県水俣市にある株式会社チッソの工場が海に垂れ流し続けている有害物質の被害で苦しむ人々を撮影してほしいと依頼される。一度は断ったジーンだったが、アイリーンが残した水俣病の資料写真を見て突き動かされる。LIFEの編集長に頼み込み日本へ立つ。
 
撮影に協力的でない被害者家族たち、小さな声を大きな権力と金で握りつぶそうとするチッソ。
そしてジーンの暗室には火がつけられてしまう。
もう撮影は無理だとあきらめようとしたジーンだったが、若いころからともに闘ってきた編集長の叱咤激励を受けカメラマンとしての使命感に火が付く。
 
抗議活動の激化は株主総会の日にピークを迎える。ジーンは被害者家族から暴行を受け大けがを負う。
被害者家族たちによるチッソ社長への直談判も虚しく、金は払えないという結論だった。
 
そして、寝床を提供してくれていた家族が、重度の水俣病患者である娘と母とが入浴するところを撮影させてくれることとなった。
ジーンの代表作となる智子の入浴。
 
この写真を含む水俣病被害者の痛ましい写真たちが雑誌に掲載されたことにより注目を集め、被害者家族が勝訴。チッソに賠償金の支払いが命じられるところで物語は終わる。

補足として、安倍元総理の「水銀被害は終わった」発言や、ジーンとアイリーンの結婚、抗議活動中の怪我が遠因で数年後にジーンが亡くなったこと、アイリーンがいまだ環境活動を続けていることが記された。
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